目 次
子どもの前歯が傷ついたら・・・
子どもの虫歯は100%親の責任です
塗銀(サフォライド)
舌弄癖について

子どもの前歯が傷ついたら・・・
 顎骨や歯槽骨骨折までは至らないも、ぶつけて前歯が折れたり、ぐらついてしまったり(脱臼)、位置がずれちゃったり、取れちゃったりするような状態で、おおかた口唇や歯茎血だらけで来院される子どもさんがいます。それも乳歯じゃなく、生涯使わねばならぬ萌えたての永久歯の前歯ですよ。子どもは想像超えたとんでもないことしますよ、とくに男の子は。あり得ないクラッシュをしてしまう。全体重乗って前歯から落下!みたいな背筋が寒くなるような状況になることもあります。
 とはいえ、幸い前歯は何とか無事に定位置に戻せています。歯は強いもので、適切な処置を講ずれば抜けてもまず生着します。まったく存在価値のないと思われてた親知らずにしても、奥歯の抜けた後に移植すれば、普通に噛んで使える状態までもっていけます。それは自家製の最高級インプラントですよ。とはいえバージン状態のドナー親知らずと、抜歯して欠損したサイトが揃って初めて検討できる施術なので、そう多い症例ではないですが、少なくとも10例以上やって失敗例は幸いありません。このように、他から持ってきても大丈夫なくらいですから、もとの抜けた穴には当然ソケットのようにピタッと収まりますので、うまく固定さえできれば絶対とはいえませんがかなりの確率で戻ります。
 折れた場合は破片を接着させるのは厳しいですが、最近の修復材料は秀逸なのでなんとか最低限以上の体裁まで整えられます。神経まで露出するような激しい折れ方は稀です。 
 さて、歯を再着させた場合予後として懸念されるのは、歯の完成が為されなかったり、神経が壊死したり、癒着したりということ。でも、それは後からの問題で、まずは定着させることが先決なことですから。
 乳歯脱臼の場合は、萌えかわりの頃だと根がほとんどないので厳しいですが、3歳くらいならなんとかなるケースもあります。とにかく希望は失くさないでください。
 上記のような、突発的事故に出くわすとたいていのお母さんは半ばパニックになっちゃいます。目前であっても、学校からの連絡でも、一瞬気が遠くなりそうになるのは仕方のないことです。でも、そこは気を取り直したら、とりあえず早急にTELください。最善の方法を考えます。何といっても口腔外科+小児歯科のコンビですから外傷は専門ですし、都立病院形成外科との連携も緊密ですので安心して来院ください。
 
子どもの虫歯は100%親の責任です
 当院の待合室には、時としては14〜15人(!)もの子どもたちがいることがあります。もちろん兄弟姉妹の付き合いも含めてで、全員が歯の治療に来てるわけではありませんが・・・。
 アンパンマンを観てる子、絵本を読んでる子、かるたをやってる親子、ブロックをやってる姉妹、ひたすらミニカーを並べてる子、怪獣ごっこしている兄弟、僕にいろいろ話しかけてくる女の子・・・何人子どもがいようと、すべての子を一瞬でチェックできる特殊能力は、ベテラン保育士さん並みと自負してます(笑)。
 ”子どもたちを絶対に飽きさせるものか!”というコンセプトのもと、つねに子どもの目線で、何が子どもが喜ぶかを模索しております(42にして子どもに成り切る、これが大事)。
 何しろ僕は、当代子どもに最も嫌われる”歯医者のおじさん”、BUT当の本人は無類の子ども好きときてる。こんな矛盾したことはありません。可愛い子どもたちの、一番イヤなことをしなければいけないのですから、因果なものです。
 
 じつは、子ども自身、嫌がりつつも、歯をキチンと治してもらわなければいけないんだ、怖いけど頑張らねばいかんのだ、と幼いながらも健気に思っているものなんですよ!その気持ちが僕はたまらなく切なく、いとおしい。だから、後で絶対に悪くならないように、子どもがこれ以上苦しまないように、鬼手仏心で患歯に向かうのです。

 ハッキリ申し上げると、子どもの虫歯は100%親の責任です。 
 なぜなら、十分予防可能だからです。この時代、求めれば情報はいくらでも入手可能なはず。キツいようですが親の怠慢のせいで、子どもは歯医者で辛い思いを強いられ、しなくてもいい苦悩を味わうわけです。ですから「歯ブラシしない自分が悪いんでしょ」なんて、子どもを責めるのは筋違いで、むしろ「ごめんね」と謝るべきなのです。
 保護者の皆さん!子どもを生んだ以上は、絶対に”歯”を悪くしないため全力を傾注してください。子どもは自分の歯を自分で守れない。世界中であなたしか守れないのです!
 お願いします!!
 歯医者で一生懸命治療に耐える子らを見てると、不憫で居たたまれなくなるのです。

 とはいえ、十分気をつけていても、不覚にも虫歯ができちゃうことはあります。ですから不安な方は健診まで待たずに、気軽にお診せください。べつに親御さんを責めたりしませんから(笑)。正直、完璧な虫歯の予防というのはけっこうむずしいのも確かです。
 一緒に子どもさんの歯のために、最善を尽くして参りましょう。


塗銀(サフォライド)
 
塗銀(サフォライド)を塗られ前歯が真っ黒けにされてしまった子どもが未だに後を絶たない。とくに授乳期間が長い子どもほど前歯はやられてしまっているケースが多い。1歳や2歳児だから、普通に治療できるわけもない。銀を塗ってとりあえず進行止めとしておきましょう、とされるのが真相ではないかと思うが、前歯はお歯黒のようにトホホの真っ黒。それでどうしたもんですかねえ?という電話がよくかかってくるけれど、大丈夫、白く戻りますから!
 黒くなる歯の部分は脱灰(=歯のカルシウムが酸で溶けてしまう!)してしまった場所で、脱灰の程度が顕著なところほど黒くなる。たしかにウ蝕進行抑止効果はあるかもしれないが、前歯が黒くなっちゃ本末転倒。あれは戦後のベビーブームにおいて虫歯のあまりの酷さに、まったく数の足らない歯科医師側が苦肉の策で取り入れた緊急措置にすぎない。予防コンセプトがほとんどゼロ時代の化石のような過去の遺物なんだ。予防意識がかなり確立した今の時代、もはや無神経に使っていい薬剤ではないだろう。いくら子どもだといっても引っ張って小学校3年くらいは使う乳前歯、それまでずーっと黒いままでいいのか?再石灰化といって歯には脱灰した部分にもう一回カルシウムを沈着させる能力がある。その歯が頑張って治癒したり、しかけた部分まで黒くなってしまうのだ!あれは!
 それにC2といって、象牙質まで達してしまったら、進行止めもなにもちゃんと治療するしかない。要するに子どもの虫歯を治療する意欲も能力もない歯医者が安易にアレを使うんだよ。
 
うちはサフォライドは基本的には使わない。使う理由がない。どんな子どもでも治療は可能だからである。何歳であっても暴れようが泣き喚こうが虫歯はきちんと治さないと絶対にダメです。歯科医師は塗銀で誤魔化してはいけません。歯が黒くなって一番悲しむのは当の子どもだよ。子どもの心に傷をつけるようなことを歯医者がしちゃまずいだろ。


舌弄癖について
 いろいろな心配をおもちの患者さんが相談に訪れますが、舌の悪い癖(舌弄癖)により歯並びどころか、顎の形まで変形していってしまうケースがあります。舌は筋肉の塊なので結構パワフルで、これで前歯を押し続けると矯正力が働いて、上下とも出っ歯になり、奥歯は噛んでいても前歯が開きっぱなしの困った顔になることもあるのです。
 下の前歯を舌で押し続けると、下顎がどんどん前進して、しまいには猪木バリの受け口になることも多いです。
 舌というのは、安静時、神により決められた置き場というのがあります。それは上顎の前歯の後ろのザラザラした歯槽粘膜(=口蓋スイヘキといいます)です。ここに舌の先をいつもしまっておけば、下顎も下がり万事OKなのです。
 舌癖というのは無意識のクセだから、習慣的に長時間やってるわけで、モロモロ大きい影響を与えます。これを直すには(親の)強い意志の力が必要です。常に見張っていて、少しでも舌の位置が悪いと注意しなければなりません。無意識にやってるクセを、強引に介入し止めさせるわけですから、忍耐力がいる難仕事です。しかし、子どももけっこう捨てたものじゃなく、親の言うことを聞いて一生懸命直そうと頑張る子が多いのも事実です。
 将来、矯正をしたり、手術をしたりして直すまでもなく、早期に親の情熱で未然に何とかできることもあるのです。